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2026.01.10
Journal of Aero Aqua Bio-mechanismsに採択
照月准教授と千葉大学の中田敏是准教授らの研究グループは、昆虫触角をセンサに用いた匂い追跡ドローンについて、センサ配置とドローンが生み出す気流が匂い検出性能に与える影響に関する新たな知見を得て、これを論文誌 Journal of Aero Aqua Bio-mechanisms (JAAB) に発表しました。
近年、災害現場やインフラ点検などへの応用を目指し、ドローンに匂いセンサを搭載して匂い源を探索する研究が進められています。特に、昆虫触角を用いたバイオハイブリッド匂いセンサ(EAGセンサ)は、高い感度と選択性を有する一方で、ドローン自身が生み出すプロペラ気流が匂い検知にどのような影響を与えるのかは、これまで十分に理解されていませんでした。
本研究では、プロペラによって誘起される気流とセンサ配置の関係が、匂い検出性能に与える影響を体系的に明らかにしました。数値流体力学(CFD)解析と、カイコガの触角を搭載したドローンを用いた匂い検出実験を組み合わせ、センサの設置位置を変えながら検出率や信号強度を評価しました。
その結果、プロペラが生み出す気流はドローン周囲の広い空間から空気を引き寄せており、センサをプロペラ面より上方に配置した場合に、匂い検出率および信号強度が顕著に向上することが分かりました。この位置では、センサ周囲の流速が昆虫が羽ばたきによって触角に空気を導く際の流速と近い値となり、生物の匂いセンシングメカニズムと整合的な条件が形成されていました。一方で、センサを過度に高い位置に配置すると、気流の非定常性により応答のばらつきが増えることも確認され、最も高い位置ではなく、安定して性能が向上する位置が存在することが示されました。
これらの結果は、ドローン上の匂いセンサ性能が、センサ素子そのものだけでなく、ドローンの空力特性やセンサ配置によって大きく左右されることを示しています。本研究は、匂いセンサを気流の影響を受ける受動的な要素として扱うのではなく、気流を積極的に利用するという設計思想の重要性を示すものであり、将来的な匂い追跡ドローンやバイオインスパイアードロボットにおける空力設計まで含めた匂いセンシングの設計指針に貢献する成果です。

図:CFD解析で可視化したプロペラ誘起気流によるセンサ方向への流れ
論文題目:Effect of the wake induced by a drone on olfactory sensing
著者:C. Fukui, J. Hoshina, S. Shimakawa, Y. Yamamoto, H. Liu, D. Terutsuki*, T. Nakata* *Authors for correspondence.
掲載誌:Journal of Aero Aqua Bio-mechanisms
DOI: 10.5226/jabmech.11.28
URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabmech/11/1/11_28/_article/-char/en